血糖値は難しい
血糖値という言葉。「高すぎると糖尿病になる」…くらいのざっくりした知識はあるけれど、具体的にどのように体に影響があるのか、どんな点に注意すればよいのか、詳しくご存知でない方も多いのではないでしょうか?

血糖値についての解説がされているサイトや書籍はいくらでも出てきますが、いかんせんわかりにくい!難しい!!というのが皆さんの本音ではないですか?

ダイエット中の人も、美容に気を使う人も、病気が心配な人も、そうでない人も、健康な生活を送るために知っておきたい「血糖値」の知識をこの機会に把握しておきましょう!

血糖値とは。上昇の原因や危険性など徹底解説!

血糖値とは、血液中に存在する「糖」の多さを表す数値です。この血液中にある「糖」が多いほど血糖値が高く少ないほど血糖値が低くなります。

血糖値の高い状態

血液中に存在する「糖」は、食事をすることで数が増えます。食べ物に含まれる「糖」が腸で吸収され血液に送られるのです。

血糖値の種類

血液中の糖の多さには、二つの種類があります。それが変動する血糖値と、変動しにくい血糖値です。

1回の食事で変動する一時的な数値、血糖値(空腹時血糖値と食後血糖)

変動する血糖値

食事を摂ると血糖値が上がり、しばらくすると戻ります。つまり1日で何度も変動している数値なのです。

空腹の状態でも血糖値がゼロになることはありません。この胃に食べものが無い状態での血糖値を「空腹時血糖」と呼びます。また、食後に上がる血糖値のことを「食後血糖」と呼びます。

一方で毎日の食事では変動しにくい血糖値もあります。

毎日の食事が影響する平均値、HbA1c

変動しにくい血糖値
変動する血糖値に対し、変動が少ない血糖値というのもあります。それが「HbA1c」です。ヘモグロビン・エーワンシーと読みます。この「HbA1c」とは、血液中にある余計な「糖」と血液の赤色を造っているヘモグロビンがくっついたもの。「HbA1c」この4ヶ月ほど血液中に留まるので、血糖値の“平均”と思っていただければ大丈夫です。

HbA1cとは?

HbA1cは、血液中の赤血球に含まれるタンパク質の一種で、体内に酸素を運ぶヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。これらは一度結合すると、120日間はそのままの状態であるため、過去1~2カ月間の血糖値の平均を反映します。

出典:アステラス製薬

血糖値の上昇でこんな危険が!

血糖値というものがざっくりわかったと思います。

全身の栄養になるために血液中にいる「糖」。栄養となる大事な役割なのに、なぜ悪いイメージがあるのでしょうか?それは、「糖の使い道」にあります。

血液の中に入った糖は、①細胞に運ばれる。もしくは、②血液中に留まる。のタイプに分かれます。その中で使われなかった「糖」が色々と面倒なのです。

血糖値の急上昇が肥満の原因に

糖から脂肪

まず①細胞に運ばれる場合は、以下のようなステップを踏みます。

食事を取ると一時的に血糖値が上昇します。血液の中に増えすぎた糖を減らそうと登場するのがインシュリン。このインシュリンは糖を体の細胞へ運ぶのです。この運ばれた糖の使い道は、ご存知の通り主にエネルギーのため。

しかし、あまり動かずエネルギーを消費しないと、糖はそのまま脂肪になり蓄積されます。「食べてすぐ横になると牛(豚でしたっけ?)になる」の言葉はあながち間違っていないのです。

消費するカロリーが少ないと糖は脂肪になる。では、どれくらい運動すれば消費されるのかというと、40kgの人がジャガイモを半分食べたら、1kgほどランニングをしないといけない…というのが1つの目安です。

※気になる人は細かい説明もどうぞ。→体重40kgの人が1kmランニングをして消費するカロリーがざっくり(40×1で)40kcalくらいだそうですです。砂糖は1g=4kaclなので、40kcalを作るのに必要な糖質は10gとなります。ちなみにジャガイモ半分に含まれる糖質量が約10gです。

糖尿病の危険

血糖値×危険=糖尿病と思う方も多いでしょう。

この仕組みは、インシュリンの機能が低下することに起因します。

毎日の食事で血糖値を上昇させすぎたり、常に何かをつまんで高血糖な状態が続くと、「インシュリン」の機能が疲れて糖を細胞へ運ばなくなります。つまり、血液の中を見ると「糖だらけ!」ということ。

糖尿病の危険
そして糖がエネルギーにならないので、体も活動できなくなってしまいます。この状態が糖尿病です。糖尿病と診断されていなくても、食後の血糖値が異常に高い「食後高血糖」の人は糖尿病予備軍。気をつけましょう。

老化現象(体の糖化)

血糖値の上昇が生む危険はこれだけではありません。血液中に残った「糖」もまた体に悪影響なのです。それがアンチエイジングでもキーワードとなる「体の糖化」。血液中に残っている「糖」がタンパク質とくっつき、「劣化したタンパク質=AGEs」になります。

糖化で老化
このAGEsがコラーゲンを壊して肌のシミやシワを増やしたり、臓器を老化させたりと、悪害ばかり引き起こすのです。アンチエイジングの業界では、昔「体の酸化を防いで錆びない体に」…と言われていましたが、今は「体の糖化」のほうが怖いと言われているくらいなのです。

その他生活習慣病

老化現象は、肌などの見た目だけの問題にはとどまりません。体の老化や病気にもつながるのです。

体の老化

糖とタンパク質の結合物事態がコラーゲンを傷つけるだけでなく、糖が「体内に不要な物質」となることで、悪者を退治しようと「活性酸素」が登場します。活性酸素が「悪い糖」を退治するのですが、強力すぎて一緒に血管も傷つけてしまうのです。するとカサブタが出来たような状態になり、血管を細くします。動脈硬化。脳血栓、心筋梗塞など、血管が詰まっておきる病気につながるというわけです。

血糖値を上げる食事

では、どのように血糖値が上昇するのでしょうか?最初にお話した通り、食事を取ると血糖値が上昇します。糖が含まれている食べものは全て血糖値を上昇させる原因となるのです。

糖が多く含まれているのは以下のような食べものです。
血糖値が上昇しやすい食事

  1. お菓子
  2. 主食である炭水化物
  3. 清涼飲料水

まず、言わずもがななお菓子。そしてご飯やパン、麺類などの主食である炭水化物。そして、気をつけたいのが糖が多く含まれているコーラやサイダー、ジュース、スポーツ飲料などの清涼飲料水です。

朝ごはんにパンを食べて、昼にラーメンを食べて、間食にチョコをつまんで、夜ご飯はビールと定食…こんな一見当たり前な食事ですが、摂取しているのはほとんど「糖」

特に気をつけたいのが飲料の糖質です。固体であれば消化にゆっくりと時間をかけますが、飲み物は体内に入ってすぐ腸から吸収されますので、血糖値の急上昇を招きます。どうしても甘いものが飲みたい場合は、市販の飲み物は避け、オリゴ糖など血糖値の上昇を緩やかにする甘みを利用しましょう。

血糖値の上昇を抑えるには?

オリゴ糖のお話をしましたが、ここからは血糖値の上昇を抑える方法や抑える食べものなどをチェックしていきましょう。

①血糖値を上げる食事を控える

ダメな食事
まず一番わかりやすい方法としては、血糖値を上げる、糖質の高い食事を控える。ということ。もちろん、全て排除する必要はありません。上記の糖の多い食材以外にも、野菜や調味料、大豆製品などにももちろん糖質が含まれていますので、何を食べても摂取はするのです。その代わり、毎食炭水化物メインの食事をやめる、甘いものを控える、清涼飲料水はやめるなど、毎日の食事に少し気を使うところから始めましょう。

②血糖値の上昇が穏やかな低GI食品

GI値
血糖値の上昇のスピードは食べものによって違いがあります。例えば白米と玄米。同じお米ですが、玄米は薄皮で包まれている分消化に時間がかかり、血糖値の上昇は穏やかです。このような血糖値上昇のスピードを表す数値をGI値と言います。GI値に関しては、こちらに詳しくまとめてありますので確認してみましょう。

③血糖値の上昇を抑える食品

血糖値の上昇を抑える
血糖値の上昇を緩やかにしてくれる食べものや調味料などがあります。糖の吸収スピードを遅くさせたり、糖を排出させたり、糖の分解を抑えたり、糖と一緒に摂取することで血糖値の急上昇を抑えてくれるのです。食物繊維や、効果のある成分が含まれたお茶などがありますのでチェックしておきましょう。

血糖値の計り方や数値

さて、ここまで血糖値とは何か、どのようにしたら上昇するのか、またその抑え方などを見てきましたが、ここからはより血糖値について詳しく知りたい方向けの情報です。

血糖値、数値の正常値と糖尿病予備軍の数値

まず、血糖値が高い、低いといいますが、いったい数値的にはどこから高いといわれるのでしょうか?

判断する数値は二つあります。1つは空腹時血糖値。食事を抜いて10~14時間ほどたった後に測る血糖値です。夜9時以降に食事を取らず、水だけ摂取するようにして、朝から検査をするという場合が多いようです。数値はそれぞれ以下の通り。
空腹時血糖

状態 空腹時血糖値
糖尿病型 126mg/dl以上
糖尿病予備軍(糖尿病型と正常型の間) 110mg/dl~126mg/dl
正常値 110mg/dl未満

もう1つはブドウ糖負荷試験血糖値と呼ばれるものです。血糖値は変動するため1度の判断で糖尿病とは診断されません。通常の検査で糖尿病型と判断された人が最終チェックとして測る数値です。

ブドウ糖の入った飲み物を飲み、その後の血糖値がどう変動するかと見ます。通常であればインシュリンが発動し血糖値が下がるのですが、インシュリンが出ずに高血糖状態が続くと危ない…ということです。ブドウ糖飲料を飲んで2時間後に140mg未満であれば大丈夫だそうです。ちなみにこの数値は、いつ測ってもOKな「随時血糖検査」と同じ数値。つまりいつ測っても血糖値が200mg以上であれば「糖尿病型」と診断されてしまう、ということです。
血糖値

状態 ブドウ糖負荷試験血糖値
糖尿病型 200mg/dl以上
糖尿病予備軍(糖尿病型と正常型の間) 140mg/dl~200mg/dl
正常値 140mg/dl未満

これらの血糖値に関しては、自分で測る方法と、病院で測る方法があります。総合病院や内科などで測れますので、近くの病院で聞いて見ましょう。

また、血糖値は自分で測ることも可能です。ネットなどでも購入出来るので気軽ですね。
血糖値の測り方を解説!

病院で血糖値を計ってみた!

今回、自分で血糖値を測りに行ってみましたので、紹介したいと思います。

受けたのは内科ではなく、婦人科のあるレディースクリニックです。血糖値だけを測りに行ったのではなく、「レディースドック」という、人間ドックの女性向けのもので、偶然血液検査の項目に血糖値も入っていた…という感じです。

血糖値

血液検査をして出た結果は以下の通り。まずはHbA1cの数値です。

HbA1cの数値

HbA1c 4.7%
正常値 4.3~5.8%

…HbA1ってなんだっけ?

という方は上を見返してみましょう。日々の食事で変動しない血液中の糖です。たまに食べ過ぎるくらいでは上がりません。毎日糖質が多いと数値が高くなります。

…4.3~5.8%が正常値なので、4.7%でセーフ!ある意味、血糖値よりも重要なデータですので、セーフで何よりです。

血糖値

空腹時血糖値 131mg
正常値 110mg/dl未満

正常値を大幅に上回る!!!そして糖尿病型は126mg!!!私は糖尿病なのか!!!…と大変にあせりましたが違いました。自分は検査したときは、お昼ごはんを食べた後でした(確か春雨スープ)。ということで、空腹時血糖ではなく食後血糖ですね。大丈夫、正常値でした。

空腹時血糖値

血糖値 131mg
正常値 140mg/dl未満

こういった数値は一度測ってみると、自分のことを把握できるだけでなく、その後の生活なども気を使うようになります。気になる方は、一度測ってみることをおすすめします!

もっと糖について知りたいと思った方は、糖質制限ダイエットバイブルのTOPページより情報を探してみてください。

※当サイトでは掲載する情報の正確性確保に努めていますが、記事を参考にする際はご自身の責任のもとご利用いただくようお願い致します。過度なダイエットは健康を損ないます。くれぐれも注意しましょう。

■補足!インスリンとは?

インスリンとは、血液中の糖のバランスを整える、いわば調整役。血液中の糖濃度が増えすぎたタイミングで発生し、糖を他の細胞へ運ぶことで血糖値を下げます。運ばれる細胞は、筋肉細胞や脂肪細胞。運ばれた糖は、使用されないとそのまま脂肪として蓄えられてしまいます。そして、インスリンと切っても切れないのが「糖尿病」。血糖値が上がっても、インスリンがうまく分泌されずに血糖値が高いままである状態になってしまう、インスリンをコントロール出来ない状態のことを指します。