糖質制限と関係の深い「炭水化物」ですが、なんとなく「糖質」と同じものではないか、と思っている人もいるのではないでしょうか?

しかし、実は違いがあるのです。炭水化物と糖質の違いや、そもそも炭水化物って何なのか!?を学びましょう。

炭水化物とは?役割や食べ物を知ってダイエットに活かそう!

炭水化物と糖質

ほぼ同一の意味として使われることもあるようですが、実際は、「炭水化物=糖質」ではなく、「炭水化物=糖質+食物繊維」とされています。

市販の食品のパッケージなどに記載されている、栄養成分の表示を見ると、「炭水化物」の量が記載されているものと、「糖質」と「食物繊維」に分けて載せているものとがあるようです。

このうち糖質は消化吸収されますが、食物繊維はほとんど身体に吸収されないと言われています。

炭水化物と糖質とは

糖質には、ブドウ糖や果糖などの単糖類、砂糖や乳糖などの二糖類、デンプンや糖アルコール(キシリトールなど)の多糖類が含まれるとされています。なお、このうち単糖類と二糖類とは「糖類」と呼ばれています。

炭水化物は、タンパク質、脂質とあわせて、三大栄養素と言われることもあるようです。この中でもっともエネルギー源になりやすいのは炭水化物で、1gにつき4kcalのエネルギーを生み出すことができるとされています。

炭水化物を摂取すると?

ご飯などを食べることで摂取された炭水化物は、唾液や腸液などによって、体内で消化されます。

炭水化物と糖質の分類

このうち糖質は単糖類(ブドウ糖など)にまで分解され、血液と一緒に身体中に運ばれます。脳や身体を動かすためのエネルギーとなるほか、肝臓や筋肉では、グリコーゲンとなって蓄えられます。ただし、肝臓や筋肉に蓄えられるグリコーゲンの量には限界があり、余分な糖質は体脂肪として蓄積されてしまうと言われています。

そのため、糖質の摂り過ぎは肥満の原因になるとされています。

脂肪へ

また、血液中にブドウ糖が取り込まれると、血糖値が上がります。それに伴ってインスリンが分泌され、血糖値を下げようとします。この時、一気に血糖値が上がると、インスリンが過剰分泌されてしまうことがあると言われています。

インスリンには、体脂肪を蓄積しやすくしたり、体脂肪が分解されるのを防ぐ働きがあるとされています。そのため、インスリンの過剰分泌も肥満につながるとされています。

一方で、食物繊維は分解されずに胃や小腸を通過し、大腸に達します。大腸では、腸内細菌によって発酵させられますが、このとき生成される物質に短鎖脂肪酸があります。短鎖脂肪酸は体内に吸収され、上皮細胞の増殖など、様々な用途に使われるとされています。

なお、食物繊維の種類によって、発酵しやすいものとしにくいものがあると言われています。また食物繊維は便のかさを増やして排出しやすくするなど、身体にとって有益な働きをするとされています。

炭水化物を摂り過ぎると?

炭水化物のリスク

炭水化物の摂り過ぎは糖質の摂り過ぎにつながり、肥満の原因となると言われています。肥満は、脳卒中心筋梗塞など、死に至る危険性が高い病気と、大きな関わりがあるとされています。また大腸がんなど、多くのがんのリスクを高めることもあると言われています。

また、肥満でない人よりも骨や関節への負担が大きくなってしまいます。そのため、腰痛などを引き起こしやすくなるとも言われています。

また、炭水化物の摂り過ぎは、糖尿病のリスクを高めると言われています。

インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」は、肥満と大きな関わりがあると言われています。また、糖質の摂り過ぎによって血糖値が高い状態が続くと、インスリンを分泌している膵臓が疲弊するなどして、インスリンの出や効き目が悪くなると言われることもあるようです。

糖尿病は、生活習慣病の中でも患者数が多いと言われています。深刻な合併症を引き起こすこともあり、危険度の高い病気だと言えるでしょう。

現代の日本人は炭水化物(特に糖質)を摂り過ぎてしまいやすい、と言われることもあるようです。

忙しい時に利用しやすいコンビニのおむすびやパン、気軽に食べられておいしいファーストフードや牛丼、ラーメンなどの食事は、ともすれば炭水化物をたくさん摂ってしまうことにもなりがちです。

このような食生活を送りがちな人は、特に炭水化物の摂取量について、気を付けた方がいいかもしれません。

炭水化物を多く含む食品

炭水化物

でんぷんを多く含むご飯やパン、ジャガイモなど、主食として食べられることのある食品には、炭水化物を多く含むものが多いとされています。また、砂糖の摂取量にも注意したいものです。甘いお菓子類ばかりでなく、煮魚などの料理に使われているものや、コーヒーなどの飲み物に入っているものも、意識した方がいいかもしれません。

なお、でんぷんなどの多糖類よりも砂糖などの二糖類や単糖類の方が吸収されやすく、血糖値を上げやすいと言われています。炭水化物の摂取量を減らすために、主食を抜くのは有効な方法ではありますが、ケーキやクッキーなどのお菓子をより控える必要があるでしょう。

高糖質の食品を別のものに

食事の際、炭水化物を多く含む主食を抜くことで、炭水化物の摂取量を減らすことができます。しかし、主食を食べないことで、食費がかさんでしまったり、食事から満足感を得られにくくなってしまったりすることも考えられます。

炭水化物
そこで、単に主食を抜くのではなく別の食品に置き換えてみることも、検討してみてはいかがでしょうか。

たとえば白米を玄米(または発芽玄米)に置き換えてみてはいかがでしょう。

玄米は白米に比べてGI値が低く、食物繊維を多く含んでいるため、血糖値を上げにくく、比較的糖質制限などに向いている食品だと言われています。お米には違いないので、糖質を含んでいることには変わりありませんが、白米と比べてよく噛む必要があるため、食べる量を少なく済ませることができるという利点もあるようです。

パン派の人は、全粒粉パンやふすまパンなどを試してみてはいかがでしょうか。

普通の小麦粉は、デンプンを主成分とする小麦の胚乳だけを使って作られています。一方、全粒粉は小麦全部を粉にしており、小麦の表皮や胚芽に含まれる栄養素も摂ることができるとされています。

ふすまパンは、食物繊維などを多く含む小麦のふすま(表皮)を使って作られたパンのことです。どちらも普通のパンと比べて、低糖質・低GIだと言われています。

炭水化物をエネルギーにするビタミンB1

疲労回復などに有効だとされるビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素とされ、豚肉や玄米などに多く含まれていると言われています。

ビタミンB1が不足すると、糖質をうまくエネルギーとして利用できなくなるため、疲れやすくなったり、だるさを感じたりといった症状が起きると言われています。

主食が多くなりそうな時は、ビタミンB1の多い食材を積極的に取ると良いでしょう。ただ、脂肪が多いものも多いので、海苔などで摂取するのが良いかもしれません。

炭水化物を摂るときは?

なるべく炭水化物を食べないようにしたい!と思っていても、実行するのが難しいケースもあるでしょう。多めの炭水化物を摂るときには、どのようなことを意識すればいいのでしょうか?

注意点

食事の際、食べる順番に気を付けることで、食後血糖値の上昇を緩やかにすることができると言われています。具体的には、最初に野菜サラダなどの食物繊維を多く含むものを食べ、その次に肉や魚などのタンパク質、最後にご飯などの炭水化物を食べるようにするのが、いいと言われています。

最終的に摂取する糖質の量は変わらないかもしれませんが、血糖値の急激な変化を防ぎ、インスリンの過剰分泌を避ける効果が期待できるようです。また、食物繊維を含む食品は、食べるときによく噛む必要があると言われています。そのため、満腹感をかんじやすくなり、早食いや大食いを防ぐことにつながるとされています。

その後の食事や、間食で食べる炭水化物を減らしてバランスをとるのもいいでしょう。主食やお菓子などを我慢するだけでなく、甘い飲み物なども控えた方がいいようです。ジュースや砂糖の入ったコーヒーなどは避け、甘くないお茶などを飲むようにした方がいいでしょう。

前述の通り、摂取した糖質のうち、エネルギー源として使われなかった分は、体脂肪として蓄えられてしまいます。なので、蓄えられてしまわないよう、意識して身体を動かすのもいいでしょう。

なかなか運動をする時間がない、という人も、たとえばエレベーターの代わりに階段を使う、電車を一駅手前で降りて歩くなど、糖をエネルギーとして消費できるように心がけたいものです。

炭水化物が不足すると?

糖質制限のみならず、ダイエットに際しては悪役になりがちな炭水化物ですが、身体にとって必要な栄養素ともされています。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、炭水化物の摂取量の目標として、「一日の摂取カロリーのうち50~65%」という数値を挙げています。

炭水化物

もっとも、糖質制限をしている人にとっては、この数値は大きすぎるかもしれません。しかし、炭水化物の摂取量を極端に減らし過ぎるというのも、人体にとっては問題になるようです。

エネルギー源となる糖質が不足すると、疲労感や思考力の低下などの症状が表れると言われています。脳は基本的に、ブドウ糖しかエネルギー源として使うことができないと言われています。そのため、炭水化物の摂取量が足りないと、頭がぼーっとしたり、集中力が続かなかったりといったことが起きるようです。

糖質を極端に制限していると、身体が脂肪を分解し、その際に作られるケトン体という物質を、エネルギーとして使うことができるようになると言われています。脂肪が分解されるため、ダイエット効果を得られるとも言われていますが、このケトン体のために、口臭や体臭がきつくなることもあるようです。

また、急激に炭水化物の摂取量が減ると、脳が「飢餓状態にある」と判断し、消費エネルギーを抑えるようになってしまうとも言われています。消費エネルギーが少なくなってしまうことで、痩せにくく、またリバウンドしやすくなってしまうと言われています。

炭水化物の摂り過ぎはよくありませんが、摂らなさすぎるのもまた、よくないことだと言われています。炭水化物は、重要な栄養素のひとつでもあります。むやみに減らすことで、体調を崩したり、かえってダイエットに失敗してしまったりすることも考えられます。

意外な炭水化物の多い食品

ヘルシーそうに見えても、意外と炭水化物が多い食品ってありますよね。一覧でチェックしておきましょう。

  • ヘルシーそうな春雨
  • 同じくヘルシーそうなくずきり
  • 健康そうなはと麦
  • 漬物なのに糖分も高い奈良漬
  • 意外にも焼き海苔

一見ヘルシーに見える春雨は炭水化物量84.6g/100g当たり。ただし、水で4倍に膨れるので、一食当たりは20g程度です。他の主食関係よりは低いものの、寒天のように糖質がないもの…と勘違いをしてしまいがちなので気をつけましょう。

漬物は塩分にのみ着目しがちですが、意外と糖質が高いものもあるようです。独特の風味が人気の奈良漬も、100g中33gと意外にも糖質高め。とはいえ、食べ過ぎる…ということは無いので、気にする必要はないですね。焼き海苔も同様、実は高いのですがこれでもかと食べることはないので、知識の1つとしてとどめて置いてください。